新型コロナウイルス感染症のワクチン開発がすすんでいます!
ワクチンが普及しはじめたら,従業員に接種を受けさせたいという企業が大半ではないでしょうか?

コロナワクチンの会社負担が生じた場合について

インフルエンザの予防接種は,治療ではないため保険適用がなく,原則,接種費用の全額が自己負担となります。

一方でコロナワクチンは今のところ、全額公費(負担なし)で接種ができるよう検討されているとのことです。


(厚生労働省HPより転載)

ただまだまだ検討段階であることや接種回数・対象者・予算等によっては自己負担の可能性もあるかもしれません。

会社としては業務停滞防止等を目的に,接種費用の一部ないし全額を負担してでも受けてもらいたいところではないでしょうか?
この場合の会社負担額は,一定の条件の下で福利厚生費として処理でき,従業員等には給与課税する必要はないと考えられます。

 

なぜコロナワクチン負担は福利厚生費で大丈夫なのか?注意点は?

給与課税される場合・しなくていい場合とは?

所得税法上,給料・賞与といった金銭の支給以外に,会社が従業員に経済的な利益を与えた場合,原則,給与として課税されます。
ただし,一般的な範囲内で業務遂行上必要など要件を満たすものは給与課税しないとされており,その一つが従業員の福利厚生のために支出した費用です。( 所基通36-29 )

例えば,会社が負担する人間ドック費用が該当します。
人間ドックは,法律で実施が義務化されていないものの,義務化されている健康診断と同程度で実施されているものなので、
1.著しく高額なものではないこと,
2.対象を役員など特定の者に限定せず 全社員 とし,希望者が受診できること
上の1と2を満たせば,福利厚生費として給与課税する必要はないとされています(国税庁 質疑応答事例「人間ドックの費用負担」)。

したがってコロナワクチンの接種についても,法律上の義務ではないものの,社会通念上一般的に広く実施され受けるべきものと解釈できるため福利厚生費として会社負担額の処理ができると考えています。

給与課税されないように注意点

ワクチンを会社負担した場合には税務上給与とされないように注意することが重要です。
上記の人間ドック費用と同様に
1.著しく高額なものではないこと,
2.対象を役員など特定の者に限定せず 全社員 とし,希望者が受診できること

が大切で、これを機に、福利厚生規定を整備しておくこともよいかもしれません。